地震に強い町家を、トマル場所に

更新を放置していた、地震に強い氷見の町家です。正しくは「地震に強くした氷見の町家」です。
耐震&リフォーム工事が終わって、頑丈になって、キレイになって、伝統的な意匠を携え、いい感じになったのですが、しばらく間は活用方法がハッキリしなかったのが更新を放置していた理由です。周りを見渡しますと、昭和レトロなリフォームがメインストリームのように見えます。しかしここだけ突然、伝統的な意匠になると浮いて見えますね。逆の見方はすれば、周りのほうがすっかり変わってしまったのです。

このたびは、タンザク状の細長い町家が抱える問題と言われる「間口から見た横の揺れ」の問題を耐震補強のための壁を9枚も入れて、対策しました。富山県の木材研究所に在籍していた構造計算に強い職員の方に、限界耐力計算をしてもらった結果、大地震でも大丈夫だろうというレポートをいただきました。(耐震の検査機関ではないので、何のお墨付きもありませんが)

実はこの物件、氷見市の歴史的建築物の保存活用を進めようという取り組みの一環として、耐震モデルのために改修した住宅なのです。その事業のコーディネートをさせていただき、玄関引戸や土壁、水回りを中心に、デザイン的なディレクションをいたしました。

写真に写っている白い壁が、うっすらと透けているのがわかりますか?ここが補強壁です。木材の格子を組んだパネルが足元から二階の床までガッツリと通っていて、構造体として機能しています。ガッツリと通ってはいますが、ガチガチに固いものではありません。それが軸組伝統工法のしなやかな特徴を活かした耐震補強と言えます。

予算の都合もあって、いかにもリノベしました!というデザインにはなっていません。もともとの意匠を大事にしながら、見えない部分にお金をかけたというコンセプトです。なにげに壁も塗り直していたり、氷見産の杉でフローリングにしていたり、襖も張り替えたりと地味な工事をしています。

トイレの壁はちょっと遊んでみました。お風呂もレトロなままで、きれいに補修し、洗面台も新設。とにかく水回りがキレイじゃないと、現代住宅に慣れている方々には古民家を好きになってもらえません。

これは階段脇に元々設置してあった照明です。こういったものは萌えるポイントなので(好きな人には)、そのまま残しました。結局ここはどういう場所かと言いますと、この建物を所有者さんから氷見市が借りて、リノベして、町家っていい感じでキレイになるんだよーというモデルを作ろうとしたんです。完成してから入居者を募集したのですが、上手くマッチングすることができなかったため、私たちがここをお借りすることにしました。

家賃はそれなりにしますから、遊ばせておくわけにもいかず、さあどう活用しようか考えたあげく、氷見に移住したいという思っている方のお試し体験住宅として使うことにしました。有料にすると旅館業の免許が必要となって、消防法とか保健所の許可で色々と大変なことになります。ここを利用したい方は、まずIJU(移住)応援センターみらいエンジンにご連絡ください。


明石 博之

明石 博之

[組織] (株)地域交流センター企画
[役職] 代表取締役
[職業]場づくりコーディネーター

1971年広島県因島市(現尾道市)生まれ。多摩美術大学でプロダクトデザインを学ぶ。大学を卒業後、株式会社地域交流センター企画に入社。東京を拠点に、全国各地のまちづくりプロジェクトのコーディネーションを行う。2009年に同社の代表取締役に就任。2010年に妻の故郷である富山県へ移住した以降は、自らがまちづくりの主体者として、歴史的建築物などの地域資源を活用した社会的なしくみづくり、ソーシャルビジネスの事業化に力を入れる。

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