海辺の空きビルで美味しいビール マチザイNo.9

このレトロな空きビル、ずっと気になっていました。氷見漁港のすぐそばで、湊川の河口に位置する場所です。昨年だったでしょうか?隣の空き家を取り壊すまでは、道からセットバックしていたため、その存在を気にすることもなかったんですが、隣のお家がなくなってからは、めちゃくちゃ目立つ存在になりました。

そのまたお隣が魚取社なので、このビルの存在を目立たせるために一役買ってくれている感じにも見れます。

二階から直接建物に入れる玄関があります。ここへ上がるための鉄階段と踊り場は長年の風雨にさらされ、随分と朽ちてしまっています。場所的には塩害の影響も大きいかも。露出している鉄骨を見て分かる通り、この建物の構造体は鉄骨で、外壁はALCパネルを使っています。ちなみにALCパネルとは、鉄骨造の建物の外壁によく使われる軽量気泡コンクリートで出来た耐震性や耐熱性に優れたパネルです。

これを見るだけで、なんか面白いことができそうな予感がします。新湊と氷見をクルマで行き来するとき、海岸線の道路を使っていますが、いつもいつもこの建物が気になっていました。すると、なんと、この建物の持ち主さんからご連絡をいただき、内見する運びとなったのです。これって、引き寄せの法則!?

ここは一階の部屋。写っている人物は、氷見の地域おこし協力隊の山下くんです。実はここ、もともとは氷見市の空き家情報バンクに登録する予定の物件でした。持ち主さんの依頼で、登録作業を進めようとしている途中の状況です。地元の方々にとっては、選挙事務所として使っていた印象が強いのではないでしょうか。

マチザイノオトと空き家情報バンクとの関係ですが、①マチザイノオトの運営団体=グリーンノートレーベル、→②グリーンノートレーベルの事務局=地域交流センター企画、→③地域交流センター企画が氷見市IJU応援センターを運営受託、という事になっていて、このセンターが空き家情報バンクのWEBサイトを運営しています。

二階に上がってみると、広々した台所と洋室が一部屋。もしここが東京だったら、間違いなくリノベしてお店をやりたいニーズがあると思います。本当に、何かやりたくなるような佇まいと立地にある空きビルなんです。しかし、このシステムキッチン、めちゃくちゃ広いですよね。業務用として使えてしまうほどの充実ぶりです。

天井に、雨漏り跡を発見。ん、三階建てなのに、二階の天井に雨漏り??…ちょっと不思議な気がしますが、きっと壁面の亀裂などから雨が吹き込んだのでしょう。この時代の鉄骨ビルは、ほぼ間違いなく鉄骨にアスベストを吹き付けていると思われますから、天井を修繕するときには、けっこう神経使いそうです。

二階の玄関側に移動してみます。外の階段はここへつながっているんですね。一階で店舗、二階は住居、という使い方ができそうです。しかし、どういう意図で二階に玄関があるのかと思ったんですが、以前は一階が駐車場だったと持ち主さんからお聞きして納得しました。当時としては、そうとうハイカラな建物だったに違いありません。では、この階段を登って三階へ行ってみましょう。

三階も階段をはさんで二部屋です。海側を向いた窓から気持ち良い風が入ってきます。正面に見えるドアの先はバルコニーになっています。

こちらの部屋は、天井と壁が接する部分から雨漏りがあるようです。3階の陸屋根の防水が効いていない状況です。ま、でも、なんとかなる程度のものです。

こちらは建物入り口側にある部屋です。室内は純和風の設えですね。ここだけみると、まるで木造建築のようです。部屋は以上で全部ですが、3人家族が住んで、リノベした一階の店舗を経営する、というイメージにはピッタリの広さです。

で、気になる景色はこちらです。…ジャジャーン!!如何でしょうか!湊川周辺の雰囲気も良いし、富山湾がドーンと見渡せます。海岸線もきれいですね。そして、天気の良い日には、立山連峰が一望できます。最高のロケーションですね!

写真正面、海岸沿いにのびる真っすぐな道路が見えますか?氷見に来るとき、いつもここをクルマで通るのです。わかります?この建物がいかに目立つかって…。

建物の側面、道路から見える部分です。左手の壁には、ここに家が建っていた痕跡があります。つまりこのビルは、取り壊された隣の家の壁にピッタリとくっつくように建築されたんですね。きっと建ぺい率のことを煩く言わなかった時代に建てられたビルであることは間違いないでしょうから、隣接したビルとして成立しているのだと思います。

建物の価値とは、単なる不動産的な価値だけでは測れないものだと、常日頃思っています。絶対的な価値などは存在せず、持ち主さんにとっては税金ばっかりかかる負の遺産でも、ここじゃないとダメ、このカタチじゃないとダメ、という人にとっては価値ある資産になります。ましてや、価値がないところから、アイデアと行動によって、価値を生み出すことだって可能なんですよね。マチザイノオトは、それを発掘、記録、支援する活動です。

さて、では、この空きビルに価値を見出す人がいるでしょうか?
…はい、いました!!氷見にUターンして起業したいという若者です。詳しくは「マチザイノミチ」でご紹介していきますので、お楽しみに。ビール?…それも次回にお話しします。


明石 博之

明石 博之

[組織] (株)地域交流センター企画
[役職] 代表取締役
[職業]場づくりコーディネーター

1971年広島県因島市(現尾道市)生まれ。多摩美術大学でプロダクトデザインを学ぶ。大学を卒業後、株式会社地域交流センター企画に入社。東京を拠点に、全国各地のまちづくりプロジェクトのコーディネーションを行う。2009年に同社の代表取締役に就任。2010年に妻の故郷である富山県へ移住した以降は、自らがまちづくりの主体者として、歴史的建築物などの地域資源を活用した社会的なしくみづくり、ソーシャルビジネスの事業化に力を入れる。

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