炭焼き小屋でなく、炭火焼きの納屋 マチザイNo.17

  • 炭焼き小屋でなく、炭火焼きの納屋 マチザイNo.17 write 明石 博之

    え?炭焼き小屋ですか?

    炭焼き小屋ではなく、「炭火焼き納屋」なのです。
    高岡市出身で、京都から戻ってきた料理人の山本さんが計画する、野菜の炭火焼きを提供するお店です。ご実家の敷地内にある二階建ての納屋をリノベーションします。

    場所は、富山県高岡市の駅南にある住宅街。立派な木々が立ち並ぶ公園に面した立地です。

    炭火焼きと聞けば、すぐに焼肉を思い出してしまうのですが、野菜をメインとしたメニューです。しかも、ご自身で野菜づくりを始められたというこだわり様です。
    「カウンター越しにお客さんとのコミュニケーションを楽しむ」という、京都で勤めていた飲食店の営業スタイルが気に入っていたとお聞きしました。ご自身のお店でもそうした店づくりをしたいとのことで、1階に長いカウンターテーブルのある空間をつくることになりました。

    納屋感を大事に

    こうした味わいのある階段も利用することに。コンセプトは「炭火焼き納屋」なので、既存の内装を下手にいじらずに、利用すべきところはそのまま利用することで「納屋感」を維持しようと考えました。

    2階の屋根組がそのまま見えています。もちろん、この梁やモヤは露出します。断熱層は屋根の野地板部分となります。決して大きくはない納屋にも、こうした立派な梁を通しているのが雪国の建物らしいですね。素敵です。

    窓の外に公園の並木が見えます。住宅街に立地しているのですが、この風景が良い借景となって、店の空間にも自然豊かな印象を与えてくれます。この場所のような立地は、高岡の中心部で探そうとしても、なかなか見つけることが出来ないと思います。

    店名はもう決まっています。「炭焼き納屋くさび」さんです。現在、すでにリノベーション工事は着工しており、お店の雰囲気が見えてきたところです。毎度ながら、マチザイノオトの更新が追いついておらず、現状よりも何歩も遅れた情報発信になってしまっております。情けない。

    納屋のなかには、まだ荷物がいっぱい。しかし、お店で使えそうな古いものもあります。「明治◯◯年?」と書かれた木箱なども。
    ちょいちょい写真に写っているのは人は、マチザイノオトで何度もチームを組んでいる大野創建の大野社長です。ご自身は大工さんです。
    お店の床面積は200㎡未満なので、用途変更申請はできません(しません)。一方、納屋が母屋と繋がっていることで、母屋にも消防法がかかってきます。古い空き家の活用や、まちの活性化のためにも、ケースバイケースの柔軟な安全対策が認められる世の中になることを願うばかりです。