湊町の畳屋だった築70年の古民家 マチザイNo.2

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その素敵な建物壊すの、ちょっと待った!

射水市放生津地区(旧新湊)の内川沿いに現存する街並みの歴史は、おおよそ70~80年ほど。下見の板壁に 、ギラギラ光る黒い瓦屋根、まっすぐのラインを見つけることが難しいほど反り、うねった建物の寿命は、そう長くありません。すでに新湊地区のあちこちで、古い家屋の取り壊しが始まっています。この奇跡も100年で終わってしまうのかと思うと、“惜しい ”という気持ち以外に適切な表現はありません。それに待った!をかけたい一心で探し、譲っていただいたのが六角形をした不思議なカタチの空き家。営業をやめてから15年ほど経過した畳屋さんです。

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マチザイノオトプロジェクト、始動。

内川沿いの地域では、街並みの保存とまち歩きを進めていこうという動きがあるようです。そこで考えたのが、「なるほど、こういう素敵な空き家の使い方があるね」と、真似したくなるモデルをつくること。それが湊町にあるカフェです。もちろん、人通りなんてありません。でも「ちょっと、カフェでお茶しよう」という動機で内川に足を運んでくれる人が増えれば、結果的に地域のにぎわいも生まれる、と思ったのです。持ち主さんとの交渉、地域の皆さんのご理解、店としての魅力づくり、経営計画、人材確保、そして資金調達…、前途多難は十分承知でスタート!

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結果的に構想からオープンまで約2年半かかりました。このプロジェクトをキッカケに、これから沢山のマチザイの発掘、記録、支援をしていこうと思います。

カフェuchikawa 六角堂 [address:富山県射水市八幡町1丁目20-13]


明石 博之

[組織] グリーンノートレーベル(株)
[役職] 代表取締役
[職業]場ヅクル・プロデューサー

1971年広島県尾道市(旧因島市)生まれ。多摩美術大学でプロダクトデザインを学ぶ。大学を卒業後、まちづくりコンサル会社に入社。全国各地を飛び回るうちに自らがローカルプレイヤーになることに憧れ、2010年に妻の故郷である富山県へ移住。漁師町で出会った古民家をカフェにリノベした経験をキッカケに秘密基地的な「場」をつくるおもしろさに目覚める。その後〈マチザイノオト〉プロジェクトを立ち上げ、まちの価値を拡大する「場」のプロデュース・空間デザインを仕事の軸として、富山のまちづくりに取り組んでいる。

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