芭蕉が句を詠んだ唯一の場所
早稲の香や分け入る右は有磯海…。
富山県内で唯一詠まれた句です。この句碑のある場所は新湊にある放生津八幡宮、かつての奈呉之浦(那古ノ浦)と言われたこの場所で詠んだと思われます。
…にもかかわらず、観光名所になっているわけでもなく、パンフレットなどで取り上げるわけでもなく、実際に行ってみればひっそりと句碑があるだけでの場所です。
芭蕉さんは海沿いに氷見を目指そうと地元民に道を尋ねたところ、彼らは「なーん、何もないっちゃ」と言ったんでしょうか、そちらには宿がないからやめたほうがいい、的なことを言われて仕方なく高岡方面を目指したと言われています。
ここからは勝手な想像ですが、このあと、加賀の国に着いた芭蕉さんは加賀の殿様に会い、「有磯海を見渡すところは、まったくいい場所がないですな。加賀から切り離したらどうですか?」と提案したのかも。そして、その提案は廃藩置県後の線引きにおおきな影響を与えた…、ってことはないですかね。妄想でした。
明石 博之
[組織] グリーンノートレーベル(株)
[役職] 代表取締役
[職業]場ヅクル・プロデューサー
1971年広島県尾道市(旧因島市)生まれ。多摩美術大学でプロダクトデザインを学ぶ。大学を卒業後、まちづくりコンサル会社に入社。全国各地を飛び回るうちに自らがローカルプレイヤーになることに憧れ、2010年に妻の故郷である富山県へ移住。漁師町で出会った古民家をカフェにリノベした経験をキッカケに秘密基地的な「場」をつくるおもしろさに目覚める。その後〈マチザイノオト〉プロジェクトを立ち上げ、まちの価値を拡大する「場」のプロデュース・空間デザインを仕事の軸として、富山のまちづくりに取り組んでいる。
■ 関連記事