蔵の床下に砂浜?!

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ここは、ワールドリーデザインの新しい事務所となる新湊の町家のなかにある蔵です。
この床下に、世にも奇妙な光景が広がっていることを、誰が想像できたでしょうか…。
一見すると、ごく普通の蔵(都会もんにとっては、「普通の蔵」という概念は存在しませんが)の風景ですが、床の下には新湊ならでは特徴がありました。

その床の板をめくってみて、出てきたのがコレ!!

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海岸や河川敷にあるような砂です。
これを見たとき、関係者一同、ポカーンという感じでした。いくつもの蔵を見てきた工務店の社長も理解不能です。設計サイドから見ても、床に砂を敷き詰める建築的な合理性はないとのこと。

触ってみると、サラサラしてほとんど水分のない状態です。ちなみに根太はしっかりしていますが、その下にある大引の一部は腐っているものもあります。そこで気になるのは、束と礎石の関係です。これは掘ってみないとわかりません。

たしかに、昔は海側の岸壁がなかったので、砂浜まで目と鼻の先だったはずです。
しかし、なぜ、わざわざ砂を敷き詰めたんでしょう…。不思議です。次に気になるのは、じゃ、周辺の他の蔵はどうなっているか、ということです。

この辺りの古い町家は、ほとんどが海運業か、漁師を営んでいた家です。内川沿いの渡辺家のように、古くから北前船の廻船問屋として栄えた家もあれば、その後の漁師町として発展した時代の網元や漁師の家もある。
髙木家も、その昔は漁業を営んでいたとすれば、この蔵はもともと漁具の倉庫のはずです。まだ、調査不足で確かなことはわかりません。
漁業と、この「蔵の中の砂浜」は何か関係があるのでしょうか。まったくの謎です…。


明石 博之

[組織] グリーンノートレーベル(株)
[役職] 代表取締役
[職業]場ヅクル・プロデューサー

1971年広島県尾道市(旧因島市)生まれ。多摩美術大学でプロダクトデザインを学ぶ。大学を卒業後、まちづくりコンサル会社に入社。全国各地を飛び回るうちに自らがローカルプレイヤーになることに憧れ、2010年に妻の故郷である富山県へ移住。漁師町で出会った古民家をカフェにリノベした経験をキッカケに秘密基地的な「場」をつくるおもしろさに目覚める。その後〈マチザイノオト〉プロジェクトを立ち上げ、まちの価値を拡大する「場」のプロデュース・空間デザインを仕事の軸として、富山のまちづくりに取り組んでいる。

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