「小さなお店」ビフォー・アフター!
昨年の夏からDIYリノベーションでつくっていた「小さなお店」、名前を「小さなキッチン&雑貨 Lupe(ルーペ)」に改め、今年4月にオープンしてから早半年が経ちました。お店では、内川にちなんだ雑貨品とパンの販売を行っており、オープン時間が近づくと店中に焼きたてパンの美味しい香りが漂っています。今ではパンを目当てにした常連客さんも増えてきて、Lupeの存在が内川の日常となってきているのではないかな、と感じている今日この頃です。
もともとuchikawa六角堂が倉庫としてお借りしていた空き家。せっかくお借りしているのだしここを六角堂のサブキッチンにしよう!いやいや、いっそのことお店にしよう!という流れでお店づくりは始まりました。お店といっても、家の裏口にあたる6畳くらいのキッチンと8畳くらいのガレージという広さ。このくらいなら素人DIYでもできそうだね、という社長の(無謀な)一声で「小さなお店づくりDIYプロジェクト」は入社一年目の私に託されました。
建築知識も、予算も、相談相手も何もないところからのスタート。最初は途方に暮れてましたが、そのうちに思考が一周して「こんな無茶ぶりされたんだ、とことん楽しくやってやろう!」となり、作業はDIYワークショップでみんなで楽しく!小さい子どももウェルカム!作業後にはおやつタイムもつけよう!というゆる~いDIYワークショップが始まりました。全8回の開催となり、近所の小学生から自衛隊のお兄さん、解体が趣味(!?)のおじさんまで幅広い方々が参加くださり、ワークショップ参加者の方々がいなければお店は出来上がっていなかったと思います。そのぐらい作業的にも精神的にも助けられました。
一方で予算の問題に対しては、クラウドファンディングを利用することに。クラウドファンディングサイト「FAAVO」で「小さなお店づくりDIYプロジェクト」を紹介し、共感いただければご支援お願いします!とネットの海に呼びかけて、結果的には目標金額以上のご支援が集まりました。が、ここで予想外だったのはご支援くださった方々52人のうち、9割が知人だったこと。人脈の大切さや日ごろの行いの重要さが身に染みました…。
そして、やっとたどり着いたオープン前日、全て手作りのこの空間が本当にお店としてやっていけるのか不安でいっぱいでした。看板の大きさはこれでよかったかな、棚の色味はもう少し暗くしたらよかったかな…と心配と後悔の気持ちが押し寄せる中、すべてのDIY作業が終わり、商品を並べて明かりを点灯した瞬間の感動は忘れられません。お店を見渡せば、壁の釘ひとつ・木板のノコギリ痕ひとつからDIYワークショップの思い出が浮かび上がり、辛いことも多かったけどここまで頑張ってよかったと、しばらくの間1人で空間を噛みしめながら思い出に浸っていました。
さてさて、お店もオープン&半年経って営業も落ち着いてきたところで、ずっとやりたかったことがあるんです。一番最初の手つかずのお店の姿と今現在の姿の比較…そう!「劇〇ビフォー・アフター」をやりたいんです!比較してみて、こんなに変わったんだと実感したいんです!ということで、「小さなお店 ビフォー・アフター」にしばしお付き合いください。
まずは、入口入ってすぐの光景。元々土間の空間で、家の裏口として使われていました。写真左側、一枚目の私が立っている後ろがキッチンです。元々あった壁を一部解体して、カウンター+上下に開閉式の扉(仲間内ではパタパタ扉と呼んでいます)を取りつけました。ここの作業は材料が大きく重く、ワークショップ常連の方に緊急ヘルプ要請して助けてもらいました。やはりこういった作業は、1人より大勢の方が早く進むし何より楽しいですね。
お次は先ほどの空間を反対側から。一枚目の写真は解体時の様子です。作業中はここの空間で棚づくりや扉のペンキ塗りを行っていました。土間をよく見ると、この時のペンキをこぼした跡が残っていたり。Lupeでは商品を置く場所となるので照明も新たに取り付けました。空間って照明を適切につけてあげると、間がグッと締まるんです!光の力は偉大です。
こちらはキッチン側。今までの写真でいうと、カウンターの奥側になります。棚や壁は解体て作り直しましたが、排気口・水道管の位置はそのままです。こうして見比べると、壁材を変えるだけでも空間がガラッと変わって見えるから不思議です。
最後にキッチン内。一枚目は床・壁板解体後の様子です。床板をはぐると壺に入った年代物の梅干しが出てきたのも、今となってはいい思い出。これの処分方法が一番頭を悩ませました…。床基礎に使われていた太い木材は新しく作った棚の脚に、はぐった床板の一部はカウンターの天板に転用しています。古材を転用した理由は、「エコ」や「もったいない精神」でもありますが、一番は単純にカッコいいからです。長い年月使われていた木材の錆びた色は、出そうと思ってもなかなか出せない淡い渋い色合いをしており、そういった木材を見ると「萌え~!」と心の中で叫んでしまいます。
お店作りを通して、素人DIYでも時間と仲間と根気があればどうにかできるものだと実感した一年でした。お店が完成したのはもちろんですが、作業を進めるにつれて一緒に作ってくれる仲間、お店や内川を自分の好きな場所にカウントする人が増えたことがう何よりも嬉しく、“まちづくり”の一端が見えたような気がします。
「小さなお店作り」はこれで一旦終了ですが 、Lupeはこれからも仲間が見つかる場所、内川を知ってもらうための入口となれるようにしていきたいと思っています。その第一弾として、最近「Lupeつくる部」を発足しました。「つくりたいものをみんなでつくる」という、どなたでも参加okのゆる~い部活動です。雪の降る寒い日はLupeに集まって、お茶を飲んでおしゃべりしながら、楽しいモノづくり。内川がより多くの人にとっての素敵な場所になるように、まずは思いついたことから始めていきます。
明石 博之
[組織] グリーンノートレーベル(株)
[役職] 代表取締役
[職業]場ヅクル・プロデューサー
1971年広島県尾道市(旧因島市)生まれ。多摩美術大学でプロダクトデザインを学ぶ。大学を卒業後、まちづくりコンサル会社に入社。全国各地を飛び回るうちに自らがローカルプレイヤーになることに憧れ、2010年に妻の故郷である富山県へ移住。漁師町で出会った古民家をカフェにリノベした経験をキッカケに秘密基地的な「場」をつくるおもしろさに目覚める。その後〈マチザイノオト〉プロジェクトを立ち上げ、まちの価値を拡大する「場」のプロデュース・空間デザインを仕事の軸として、富山のまちづくりに取り組んでいる。
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