それっぽく、カタチになってきたma.ba.lab.

D71_9089

このオフィス、ma.ba.lab.って言います。以後、お見知り置きを。名前の由来は、施主であるワールドリー・デザイン代表の明石あおいさんが考えた屋号で、語源は「まばら」です。意味は色々あります。疎(まばら)は、適度にスカスカしていること、だから、そこにある間とか、場に意識が集中して、面白い発想が生まれることが期待できます。あとはママとババァ?!…多様な年代のつながりや交流のような意味もあるようです。
この上の写真は、瞑想部屋と命名された場所で、昔のまんまの蔵の外壁が見える二階の通路です。ここに椅子を置いて、疲れた時や集中したいときに、ボーッと考え込むところです。そういう空間って、大事だと思うんですよね。

D71_9156

正面玄関も雰囲気が出てきました。「さまのこ」と呼ばれる格子窓が入る枠が出来上がってきました。玄関は大戸です。銅製の雨樋もポイントです。今はピカピカですが、時間が経てば、いい感じの風合いが出てきます。1階の屋根は、昔の意匠を再現してみました。よーく観察してみると、1階の屋根を支えている桁が曲がっていることに気づきますが、こういったところに愛着を感じています。そうなると、水平、垂直の梁や柱が逆に違和感を感じるくらいです。
通りすがりの人は、この建物を不思議そうに眺めています。わざわざ昔のデザインに戻すのが不思議だという声も聞いたことがあります。まさか、この建物が事務所になるとは想像もつかないかもしれません。

D71_9086

毎週水曜日は、定例ミーティングの日です。建築家の濱田さん、藤井工業の社長、それに各業者さんが集まり、進捗や予定について情報共有します。要望などがあれば、この日にまとめてお話をします。1週間も経てば、積もる話は盛りだくさんなので、予定の2時間で終わった試しがありません。この場所は蔵の中です。この現場でもっとも暖かい場所であり、落ち着く場所でもあります。その昔、人は蔵の中で眠り、外敵から命を守ったそうです。天下泰平の世のなってからは、大事な家宝を守る場所になったと、ある本で読んだことがあります。蔵の中にいると、なぜかホッコリと安心するのは、日本人のDNAに刷り込まれた記憶によるものなのでしょうか…。

D71_9096

毎週のように現場に訪れていると、かなりの数の人たちがこの工事に関わっていることがわかります。現場で働いている職人さんたちを見ていると、施主だから偉い、みたいな発想は一切持てません!逆に、こんな面倒なプランに付き合ってくださって、本当に申し訳ないと思うくらいです。しかも、六角堂の工事でお世話になった職人さんが多いので、なおさらです。やりがいを感じてくれていたら良いなとか、楽しくで仕事してくれたらいいなとか、そういうことばかりを考えてしまいます。「頭が下がります」という言葉は、こんな気持ちのときなんだろうなと思うんです。

D71_9149

このオフィスには、3つの出入り口があって、ここがその1つ。内川に続く細い通りに面した入り口付近の風景です。ここから見た内川が最高なんです。力を持った空間が、細い通路の先に、フワッと広がっている感じが良いんです。空気を感じるとは、きっと、こういった風景を見たときに思うことなのでしょう。それが、日常になると思うと、ワクワクします。

D71_9146

ここは二階にあるミーティングルームです。元のオーナーさんが、隣接する小さな家屋を買い取り、壁をぶち抜き、一体的に利用していた場所です。壁は、子供のラクガキを残したまま、天井と床は新しくしました。外壁はペンキが剥げた状態の、ほぼそのまんまで利用します。古民家をリデザインするときに、いつも思うことは、絶妙なバランスが命だということです。新築住宅には、ある程度の方程式があります。ところが古民家には、その家独自の雰囲気がありますから、方程式を当てはめることは、なかなか難しいのです。例えば、これくらい味がある建物の空間には、プラスチック製品が合いません。木や土でできた空間には、雰囲気のある金属がマッチします。僕はすべての場所に木材を使い、バリバリの伝統工法で直すべきとは思いません。町家の構造体をしっかりと受け継ぎ、次世代に残すことが、今もっとも大事なことだと思うのです。


明石 博之

明石 博之

[組織] グリーンノートレーベル(株)
[役職] 代表取締役
[職業]場ヅクル・プロデューサー

1971年広島県尾道市(旧因島市)生まれ。多摩美術大学でプロダクトデザインを学ぶ。大学を卒業後、まちづくりコンサル会社に入社。全国各地を飛び回るうちに自らがローカルプレイヤーになることに憧れ、2010年に妻の故郷である富山県へ移住。漁師町で出会った古民家をカフェにリノベした経験をキッカケに秘密基地的な「場」をつくるおもしろさに目覚める。その後〈マチザイノオト〉プロジェクトを立ち上げ、まちの価値を拡大する「場」のプロデュース・空間デザインを仕事の軸として、富山のまちづくりに取り組んでいる。

■ 関連記事