本当に、本気のイタリアンがやってくる

大変です!大変です!
前回の投稿にて「本気のイタリアン」が新湊にやってくる、と紹介しましたが、本当に「本気」になってしまいました!!

前回の投稿:[新湊に本気のイタリアンがやってくる マチザイNo.15]

今回のプロジェクトの主体者、イタリアンシェフの藤田 晋爾(しんじ)さんが経営する富山市内のレストラン<BARZER(バルツェル)>が、ミシュランガイド富山2021にて、ビブグルマンを獲得しました!

つまり、ミシュランシェフがオーナーのお店が新湊にオープンするって、ことなんです!だから、「本当に、本気のイタリアン」なのです。藤田さん、おめでとうございます!

さて、着々とリノベ工事が進行中の現場ですが、この写真に、ちょっとした違和感を覚えた方はいるでしょうか?
もし、違和感を感じたのであれば、あなたは只者ではありませんね!もしくは、マチザイノオトのコアなファンかもしれません。

その、ちょっとした違和感とは、窓の高さではないでしょうか?

そうです、非常に低いのです。なぜ、こうなっているかと言いますと、1階の厨房の天井高を上げるために、この2階の床高も思いっきり上げてしまいました。2階の天井は抜いてしまいますので、2階の天井高の心配はありません。あとは、この不自然に低い窓を正常な高さに持っていく必要があります。

こちらが、1階にある厨房になる予定のエリアです。さきほどの2階の床高が、既存の高さよりも上がっているのが、お分かりになりますか?
だいたい30cmくらい、2階の床がアップしてます。もともと、湿気にやられて、梁も柱もボロボロだった場所なので、結果的に好都合でした。この空間はほぼゼロから組み直していますが、こうした工事をマチザイノオト的には「サイボーグ化」と言います。

場所は変わって、住宅部となる玄関付近です。ここは、そのままの雰囲気を残します。都会から来た人たちがこの吹き抜けの光景を見て、「わー、すごーい!」と言うことは間違いないでしょう。ちなみに、何がすごいのか、私なりに分析してみますと、現代的な住宅に見られる「構造体と化粧材」のような明確な区別がないことが、すごいと思う要因のひとつなのかもしれません。本来は、漆喰の壁のなかに埋まってしまう構造材の「貫」を、あえて見せているのは、意匠のことを考えたうえのこと、としか思えません。

この空間は、今回のリノベ工事で手をつけない場所です。町家の2軒続きの空間は、非常に広いのです。この広い空間を一度に全部工事する必要はないと思います。ここは将来的に書斎にする計画です。「いずれ、ここが書斎になる」という将来の楽しみを残すことも、リノベの醍醐味です。

レストランの客席となる空間ですが、実はここも「将来の楽しみ」になる可能性が出てきました。
藤田さんの戦略では、コロナ感染拡大の世の中が落ち着くまで、当分の間はテイクアウトを中心に営業するそうです。テイクアウトのお弁当や惣菜の販売で、地元にファンをつくっておいて、それから本格的にレストランをオープンする!なるほど、素晴らしい考え方ですね。

レストランになる予定の空間を見上げたところです。

またもや登場しました、鱗のような梁の模様です。この地域の古い町家の多くに見られる、非常に不思議なデザイン?です。

過去の記事:[オフィスma.ba.lab.の裏で、ウキウキする工事現場]

これ、本当にいったい何なんでしょうか??今まで何人もの大工さんに聞いているのですが、誰もその理由や意図がわかりません。

中庭に差し込む優しい光、素敵です。
もともと、庭石が窮屈に詰め込まれた空間でしたが、いくつかの石を撤去して、余分な土も取り除き、スッキリさせました。ここがきれいなお庭として生き返るのが楽しみです。やはり、この古い建具が効いていますよね。窓枠による「額縁効果」によって、中庭の空間が何倍にも素敵に見えます。

さてと、ご馳走になるとします。もともと台所だった場所にあるコンクリの壁です。ここを見逃すわけにはいきません!!
計画図面では、木質の大壁の仕上げにしてしまう予定でしたが、水道管が走っていた跡が残っているこの壁を、活かさない手はございません。このまま残して見せることにします。

厨房の天井裏に、換気配管をしているところです。えらい大きなシロッコファンを取り付けています。
今回の厨房機器の設計はメーカーでもあるTanicoさんです。完成が待ち遠しいほどに立派な厨房になるよう計画がされています。一見普通の町家のなかに、こんな立派な厨房が造られるなんて、誰が想像できるでしょうか?!ワクワクします。

オーナーシェフである藤田さんは、ミシュランのビブグルマン獲得により、どんどん忙しくなり、現場になかなか足を運ぶことができなくなったようです。なので、マチザイノオトのクリエイティブチームは、藤田さんの期待を裏切らないよう、ますます頑張らないといけません!

10月にはオープンできる、かな、、、。


明石 博之

[組織] グリーンノートレーベル(株)
[役職] 代表取締役
[職業]場ヅクル・プロデューサー

1971年広島県尾道市(旧因島市)生まれ。多摩美術大学でプロダクトデザインを学ぶ。大学を卒業後、まちづくりコンサル会社に入社。全国各地を飛び回るうちに自らがローカルプレイヤーになることに憧れ、2010年に妻の故郷である富山県へ移住。漁師町で出会った古民家をカフェにリノベした経験をキッカケに秘密基地的な「場」をつくるおもしろさに目覚める。その後〈マチザイノオト〉プロジェクトを立ち上げ、まちの価値を拡大する「場」のプロデュース・空間デザインを仕事の軸として、富山のまちづくりに取り組んでいる。

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